思い出その1

中学生の頃、吹奏楽部に入っていた。弱小だった。コンクールは銅、銀、金賞の内どれかの評価をもらうが、銅ばっか。たま〜に銀、くらい。でも好きだった。音楽とか、努力とか、一体感とか。

一番好きだったのは、同じパートの一つ上の先輩。同性だったけど、自分が同級生にいじめられてるのがバレてから一緒に帰ろうって誘ってくれて、先輩の友達と部活終わり皆で帰ってた。先輩とサシで遊ぶようにもなって、学校帰りが楽しくなって、本当に大好きな先輩だった。告白したかったけどできなかった。

先輩が三年になって、先輩との最後のコンクールは銀で、頑張ったね〜って、喜んだりして。そのあと、最後に一緒に人前で合奏できる機会が学校の合唱会だった。ホールとか借りるやつ。めちゃくちゃ練習した。学校の人しか聴かないけど、絶対良い演奏にして終わろうって思ってた。

合唱会の2週間くらい前、帰りの会でお知らせが回った。インフルで学級閉鎖が出てるので合唱会中止します、のお知らせ。

あんなに泣いたのは久しぶりだった。帰りの会が終わってからも泣き止めなくて部活に行けなくて、心配した部活の友達が自分を宥めながら連れて行ってくれた。少し収まってパートの練習場所に着いたら、先輩がいた。残念だったね、とか、でもあなたには来年もあるよ、とか、そんなようなことを言われた気がするけど、顔を見た瞬間に泣いてしまったせいでよく覚えていない。

ただひたすらに悲しかった。この人達と一緒に吹ける機会はもう二度と無いのに、と思って、部活中しばらく泣いていた。先輩はずっと励ましてくれた。自分が泣いていた理由をきちんと分かってくれたかはわからないけど。

その先輩とは今も交流があるけど、あの瞬間の感情を超えるものはもう抱けないだろうな。